令和4年度施政方針
本日、令和4年かすみがうら市議会第1回定例会の開会にあたり、議員各位のご健勝を心からお喜び申し上げますとともに、市政の推進にご尽力をいただいておりますことに対し、深く感謝を申し上げます。
ここに、令和4年度の予算をはじめ重要議案の審議をお願いするにあたり、私の市政に対する所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
はじめに、社会全体に甚大な影響を与えております新型コロナウイルス感染症は、本年に入ってからもオミクロン株の感染拡大により、茨城県においても「蔓延防止等重点措置」が適用されるなど、収束の兆しが見えない状況が続いております。
本市におきましては、市民の命と健康を守るため、ワクチン接種を実施し、3度に渡るプレミアム商品券の発行による市内事業者の支援など「感染拡大防止」と「経済活動」の両面から積極的に対策を講じてきたところでございます。また、国の方針に基づく子育て世帯への臨時特別給付金を、実効性のある支援とするため、対象となる子ども一人当たり現金10万円を昨年12月に子育て世帯に支給をいたしました。国の所得制限により支給の対象になっていなかった世帯におきましても、独自に支給を開始しております。さらに、住民税非課税世帯等に1世帯当たり10万円の支給につきましても支給を開始し、生活・暮らしの支援に努めているところでございます。
さて、これまで、本市が安定してさらなる飛躍を遂げるため、共働き・子育て世代を支える街づくりでは、子育て世代包括支援センターとウエルネスプラザの開設、安心・安全な街づくりでは、防犯カメラの設置、高齢者に優しい街づくりでは、タクシー券の助成や千代田神立ライン開設による公共交通支援、観光面では「かすみがうにゃ」の誕生、江口屋の開設、都市基盤の整備では神立駅の橋上化、神立停車場線及び西成井バイパスの開通による道路交通網の整備など、公約に基づく様々な政策を実行してまいりました。
市の発展のため、ともに力を尽くしてくださった議員各位、市民の皆様、企業・団体の皆様に心から感謝申し上げます。
ポストコロナ時代において、茨城県は集計を始めた2014年以降、初めて「転入超過」に転じました。県内では本市をはじめ14の市町村が「転入超過」に転じたところであります。しかし一方で、令和2年の国勢調査の結果、令和4年4月に本市の一部が過疎地域に指定されることとなりました。市民意識調査における住みやすさや定住意向は向上しているものの、引き続き市民の幸福感を高め、 本市に住んでいてよかったと思えるよう、発展計画を策定し、市の持続的発展を図ってまいります。
また、現在、社会経済動向や市民意識の変化などを反映した第2次総合計画後期基本計画や、外部の環境変化に対応したスピード感でイノベーションをもたらすための行財政改革基本方針とアクションプランの策定を予定しているところです。今後は、新たな総合計画の中で、地方創生や行財政改革の取組のほか、重要な計画を包含して施策を設定し、一体的な推進を図るとともに確実な進行管理によって成果を得ることで、VUCA(ブーカ※1)時代に順応した市政運営に取り組んでまいります。
次に新年度の予算の概要について申し上げます。
令和4年度予算につきましては、市民の生活を支えるとともに、これからのかすみがうら市を創るため、次の点に重点を置き予算化いたします。
(1)市立地適正化計画に基づく、コンパクト・プラス・ネットワークという持続可能なまちづくりの実現に向け、都市構造再編集中支援事業費補助金を活用し、複合交流拠点施設を整備してまいります。
(2)同事業を活用し、神立停車場線沿線に道路照明施設を整備してまいります。
(3)市民生活の利便性向上を目指すため、千代田パーキングエリアにスマートインターチェンジ整備を進めてまいります。
(4)広域化する生活圏に対応した道路整備に取り組んでまいります。
(5)市民の財産や安心・安全な暮らしを守るため消防車両の整備を進めてまいります。
(6)さらなる関係人口創出を図るため、観光基本計画を策定してまいります。
(7)高齢者を支援するため、千代田義務教育学校区に地域包括支援センターの開設を進めてまいります。
(8)令和4年4月1日に開校を迎える千代田義務教育学校につきましては、小規模特認校としてきめ細やかな指導など、特色ある教育を展開してまいります。
(9)下稲吉中学校に、避難所機能を備えた屋内運動場を整備してまいります。
(10)同じく下稲吉中学校に、最新の衛生設備を備えた給食センターを整備するための基本設計を実施してまいります。
以上のほか、市民の安心・安全な暮らしを支え、新しい生活様式に適応した行政サービスを提供する予算編成としました。
予算総額としては、一般会計で195億6,500万円、特別会計で88億1,720万円、合わせまして、283億8,220万円としました。
一般会計につきましては、対前年度当初予算比で1.1%増の過去最大の予算編成としております。
また、公営企業会計のうち、水道事業会計の収益的収支につきましては、収入を10億6,206万6千円、支出を10億993万8千円とし、資本的収支につきましては、収入を6億7,200万1千円、支出を10億65万9千円としております。
下水道事業会計の収益的収支につきましては、収入及び支出をそれぞれ13億4,652万5千円とし、資本的収支につきましては、収入を6億7,987万6千円、支出を9億6,155万2千円としております。
次に、各分野の主な事業をご説明いたします。
第1に「自然の恵みを享受できるまちづくり」に取り組んでまいります。
近年、地球温暖化に係る問題やプラスチックごみによる環境汚染など、市民の日常生活に深く関わる問題が多く起こっています。これら多様な環境問題に総合的・体系的に対応していくため、さらには脱炭素社会の実現等に向けて、環境基本計画を策定し、市民や事業者、行政の協働のもと、良好な環境の保全と創造に取り組みます。
本市の貴重な地域資源の保全と活用促進を図るため、筑波山地域ジオパークの事業や、帆引き船を活用した自然環境の学習などを展開し普及啓発に取り組みます。
近年の異常気象による市街地の雨水排水の課題につきましては、調整池の整備による冠水対策を図ります。
本市の市街地には公園・緑地が不足しており、人と自然が共生する緑豊かな都市環境の充実を図るため、複合交流拠点施設整備に併せ、防災機能を持った公園・緑地の整備を進めます。
一般廃棄物処理につきましては、ごみの減量化や分別によるリサイクルを推進するため、指定袋制度を導入するなど、今後も環境への負荷が少ない循環型社会の形成を目指します。
第2に「産業の振興で活力あふれるまちづくり」に取り組んでまいります。
農村コミュニティの維持にも影響を及ぼす農業従事者の減少、併せて耕作放棄地の増加の課題につきましては、経営改善へ取り組む意欲のある生産者に対する支援をはじめ、農業法人等の民間企業の参入を支援することで、若年層の新規就農、地域雇用の促進を図ります。また、この取り組みと併せ、新たな農業経営のモデルとなるべく、畑地のかんがい等の生産基盤整備について、県と連携し検討を進めます。
有害鳥獣対策につきましては、電気柵等の侵入防止柵の設置補助や捕獲報奨金の拡充など、引き続き対策を講じます。
ポストコロナ社会や働き方改革などを背景とした商工業の活性化につきましては、市内事業所の人材確保の支援、EC(※2)をはじめとした新しい販売方式の導入、新商品開発など「稼ぐ力」を強化します。さらに、デジタル化に向けた環境整備支援やワーケーションの普及促進など、官民連携による地域の活性化を目指します。
消費者行政につきましては、国や県その他関係機関と協力し、相談体制の一層の充実を図り、市民の安心・安全な消費生活のため、今後も継続して取り組みます。
関係人口の増加に向けた施策を戦略的かつ総合的に展開するために、本市の現状の把握と課題の抽出、今後の方向性を定める観光基本計画を策定します。ウィズコロナ・ポストコロナ社会において、大規模なイベント開催による誘客の観光の在り方が見直しを迫られているなかでも、本市の特性を活かした観光の在り方を考慮しつつ、滞在時間の延長や、リピート化を図るため、水辺のアクティビティをはじめ市内周遊型サイクリング事業など、個別型・分散型・小規模イベントの観光形態での実施を併せて検討します。
第3に「安全で快適に暮らせるまちづくり」に取り組んで まいります。
本市の北部は色彩豊かな里山を有し、南部は霞ヶ浦などの自然環境に恵まれ、豊かな自然や景観に囲まれたゆとりある住環境が広がっています。美しい郷土景観の保全と魅力発信に努めるとともに、空家・空き地対策により、住環境・生活環境の保全や空家の利活用などに積極的に取り組みます。
持続可能なまちづくりを目指し、中心市街地の神立駅周辺を一体整備することで、必要な都市機能の維持・誘導を図り、安全で良好な住環境の創出に努めます。令和4年度は、神立駅西口駅前広場及び東口歩行者専用道路整備、神立停車場線沿線の複合交流拠点施設の実施設計及び道路照明施設の設置工事に着手します。
公共施設等の老朽化の進行に対応するため、公共施設の効率的・効果的な維持管理に努めます。また、住民ニーズの多様化への対応、地域間の交流の促進を図るため、公の施設の広域利用を推進します。
市民の多様な交通手段の確保に努めるとともに持続可能な公共交通を目指し、千代田神立ラインの運行ルートを見直すなど、市内公共交通の維持を図ります。
また、広域化する市民の生活圏に対応するため、土浦協同病院へのアクセスや千代田大橋延伸など、近隣市との連携や役割分担のもと、広域的な視点での道路整備に取り組みます。(仮称)千代田PAスマートインターチェンジにつきましては、令和3年8月に国の準備段階調査箇所に採択され、関係機関と地区協議会を実施するなど新規事業化に向け着実に事業を進め、市民生活の利便性向上を目指します。
国道6号千代田石岡バイパスの未事業化区間の早期事業化や霞ヶ浦二橋の建設促進につきましては、近隣自治体と連携を図りながら、引き続き、国や県に要望します。
近年国内で発生している想定を超える規模の自然災害に備え、感染拡大防止対策に配慮した災害用備蓄品の確保に努めます。また、多種多様化する災害に備え、市民の財産や安心・安全の暮らしを守るため、消防施設、車両、資器材等の整備更新を図ります。
第4に「健康で思いやりをもって暮らせるまちづくり」に取り組んでまいります。
コロナ禍や高齢による外出控えは、身体機能の衰えや気分の落ち込みなどを招くことが懸念されています。「新しい生活様式」を踏まえ、ウエルネスプラザを主体としたトレーニングルームの活用や健康教室の開催、社会参加や交流活動などの生きがいづくりに取り組みます。さらに、日常生活に課題を抱える高齢者を支援するため、千代田義務教育学校区の地域包括支援センター開設に向け準備を進めます。
子どもの虐待防止と子どもや保護者からの相談に寄り添う支援を図るため、「子ども家庭総合支援拠点」を組織し、「子育て世代包括支援センター」などの関係機関と連携して、必要な支援を適切に実施できるよう、効果的な組織体制の構築を図ります。
障害がある方の防災意識の高揚と、災害時に適切な避難行動がとれるよう「障害者のための防災の手引き」を作成し、配付します。
医療体制の維持を図るため、引き続き地域医療の中核を担う病院を支援していきます。
第5に「未来を担う若者を育むまちづくり」に取り組んで まいります。
児童福祉につきましては、「新型コロナウイルス感染症保育緊急対策事業補助金」を継続し、感染症予防に取り組みながら従事する保育士の支援と確保に努め、安心して子どもを預けられる体制整備の継続を図ります。
また、千代田義務教育学校に隣接した放課後児童クラブを併せて開設し、児童を安心して預けられる体制を整備し、引き続き児童の健全育成を図ります。
地域住民による学習ボランティア活動の支援や保護者を対象とした家庭教育学級を実施し、学力の向上をはじめ、児童生徒の居場所づくりを支援します。
人口減少の流れを抑制し、移住・定住を促進するため、婚活支援や住宅取得等に対する支援など移住定住・結婚支援事業を積極的に推進します。また、移住の最大の課題となる「しごと」を地域で 創出する仕組みとして、就労支援・企業情報発信サイト「ビズワークかすみがうら」を活用した学生等と市内企業との就労マッチングを推進するとともに、ワーケーションを通じたインターンシップなどに取り組むことで、求職者が求めるワークスタイルの充実度を引き上げ、UIJターン就職の促進を図ります。
第6に「豊かな学びと創造のまちづくり」に取り組んでまいります。
GIGAスクール構想のもと、Society5.0時代を生き抜く力を身に着け、国際的な視野を持つグローバルな人材育成を目指すため、1人1台端末を活用した学習内容の充実化など、教育現場のICT化を進めます。
千代田義務教育学校が、令和4年4月に開校を迎えます。施設一体型の小中一貫校として、また、小規模特認校として、きめ細やかな指導や地域の特性を活かした活動など、特色ある教育を展開していきます。
下稲吉中学校につきましては、避難所機能を備えた体育館の整備工事を進めるとともに、下稲吉中学校区の給食センター設置に向けた基本設計を作成します。
若者から高齢者まで、仲間とつながりながら学び教え交流することで生まれる生きがいづくりの促進のため、いつでも、誰もがスポーツを始めるきっかけづくりの場の提供に努めます。
日中の来館が難しいビジネスマンや子育て・介護で忙しい方などもインターネットを通じ、貸出、返却が可能な非来館者サービスとして、電子図書の導入に向けた調査研究を進めます。
本市の魅力の一つである歴史資源をテーマとした、特別展・企画展を開催していきます。
第7に「みんなでつくる連携と協働のまちづくり」に取り組んでまいります。
地域の課題解決や魅力発信に自ら積極的に取り組む市民団体や特定非営利活動法人、行政区等のまちづくり活動を持続可能なものとするため、引き続き支援します。
国籍や性別等に関係なく全ての人々が暮らせる多様性を大切にしたまちを目指して、男女共同参画のシンポジウムの実施や国際交流協会の設立と運営の支援を進めます。
開かれた市政運営を目指し、市発行物に二次元コードを積極的に掲載し、ホームページと連携を図るとともに、市公式アプリの利用促進を図り、新着情報や緊急情報をプッシュ型で発信することにより、迅速で的確な情報の提供に努めます。さらに、出前講座など多様な方法により情報を提供するとともに、市民から意見や提言をいただく機会を確保し、市民の市政への参画を促進します。
自治体DX推進計画に基づき、標準業務システムへの移行準備やマイナンバーカードの普及促進、行政手続のオンライン化などに取り組むことでスマート自治体を目指し、継続的な行政サービスの提供を目指します。
持続可能で魅力あるまちづくりのための財源の確保としまして、個人及び企業からのふるさと納税制度を有効活用するなど、収入源の多様化と拡充を図ります。また、市街地の基盤整備など都市計画事業に充てる安定的な財源として、社会状況を見極めた中で、都市計画税の導入の実現について引き続き検討していきます。
また、近隣市との施設の広域利用をはじめとする地域課題につきましても、積極的に関係市町村と連携を図るともに、定住自立圏構想、さらには市町村合併も含め、地域の連携手法を引き続き多角的に検討していきます。
以上、令和4年度の市政運営の基本的な考え方と主な施策の概要につきまして、ご説明を申し上げました。
議員各位、並びに市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い 申し上げ、新年度の施政方針といたします。
<事業解説>
※ 1 ブーカ・・・VUCAとは、Volatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた造語で、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態。
※ 2 E C・・・electronic commerceの頭文字で、インターネット上でモノやサービスを売買すること。
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- 2022年3月10日0時0分