帆引き船のメカニズム
帆引き船は力学的には凧に似ているといわれている。
帆げたから結び付けられた三本のつり縄によって、曳航力だけでなく帆に揚力が生まれ、三つの力(風力・重力・抗力)のバランスによって安定した走行が可能となる。
つり縄の利点
- 帆柱が折れない
- 風に帆が押され、船が転覆しない
- 網口が立体的に開く
- 揚力が船をつり上げる力となって働くため、横に流しやすくなる
- 速力がでる
などがあげられる。つり縄の発想がいかに革新的な漁船を造りだしたかがわかるといえよう。
特に5の湖を回遊するシラウオやワカサギを捕まえるのに十分なスピードを保つことが必要不可欠であった。帆引き船考案の第一の目的はまさに一定のスピードを保ちながら網をいかにして曳くかにあったに違いない。
では実際に帆引き船と凧を比較してみよう。
帆引き船と凧の比較
凧は凧の上下面にはたらく風の流れの違いによって生じた揚力で空に上がる。帆引き船の場合つり縄を出し縄より短くすることで揚力を得やすくしている。
- 網(水圧) ⇒ 凧糸をもつ人
- つり縄とだし縄 ⇒ 凧糸
- 帆 ⇒ 凧本体
- 船(おもり) ⇒ 凧の尻尾
上記の比較から一定の風さえあれば船が安定して横に流れることが理解できよう。
帆引き船が動力船以前の小型で軽い船だった頃には、揚力によって浮力が増し、船が水面を滑るように流れることが実感できたという。
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